現在日本は国民の5人に1人が65歳以上の高齢者という、世界にも類を見ない超高齢化社会を迎えています。平成27年にはいわゆる団塊の世代の人たちが65歳を迎え、少子化も加わって日本の高齢化率はさらに上がります。こうした社会背景の中、国民一人一人の認識も含めて大きな転機にきているのが医療の在り方です。
日本は医療水準が高く、例え寝たきりや高齢で障害を持ったとしても長生きする人が少なくありません。しかし高齢者が入院すると、治療できる疾患はほとんどなく長期入院の傾向にあります。現実的には、急増する治療余地の少ない高齢者の全てを医療機関で受け入れられるほど財政的にもマンパワー的にも余裕がなく、本人においても年齢を重ねれば重ねるほど、家や郷里への思いを強く持ち、自宅での療養、自宅を最後の場所として希望する人が多くいることから在宅医療推進へと大きく動いています。在宅医療のドクターはここもチェック下さい。
在宅医療とは、広義には、病院外で行う医療全般を指します。例えば通常生活を行いながら病院で処方してもらった薬を飲んだり、自分で注射薬を使用して病気に対するケアを継続する医療は全て在宅医療と言うことができます。また、狭義には、通院困難な患者さんが過ごす自宅や施設などに医師・看護師・理学療法士など必要に応じた医療従事者が訪問し、医療継続することを在宅医療と言います。
こうした在宅医療は高齢者だけでなく、末期ガンの患者さんや慢性疾患の終末期にある患者さんにも広く提供されている医療サービスのひとつです。在宅医療が徐々に浸透しつつあるのは社会的背景や推進的な政策、患者側のニーズだけでなく、本人や家族の人でも操作ができる医療機器の開発や、使い勝手の良い薬の導入など様々な周辺環境の整備も進んだことによります。
在宅医療に携わる医師には、一般的な勤務医とはまた異なる医師としての視点や経験などが求められます。特に高齢者や終末期を迎えた患者さんを対象とすることが多いため、患者さんの自宅での診療を継続的に行い、かつ自宅で看取ることが求められます。また在宅での終末期ケア・緩和ケアに十分な理解があり、必要な時に関係機関とチームアプローチができるといったスキルや資質も必要とされます。
在宅医療の推進・浸透とともに在宅医のニーズの上昇傾向が既に見られます。訪問時の運転手、看護師同行など医療機関による条件選択や、診療報酬上、追い風傾向にあるため募集ニーズ非常に高くなっているようです。今後必然的になってくる医療の在り方であるため、在宅医として新たな医師のフィールドとなるでしょう。